14-2

8/35
前へ
/35ページ
次へ
「ところで、結婚はまだかね? キミ達は」 ぶはっ。 何も口に含んでいないので、心の中で衝撃を勢いよく吹き出す。 「……」 吉川さんは表情を一ミリも変えずに、無言。 「あぁ、失礼。 まだそんな話までは出ていないのかな? これからだね、道野くん」 えぇえっ!?私ですか? 私にきますか!? 「え……、あの……」 笑顔が引きつり、冷たい汗がこめかみを伝う。 ……どうしよう。 ここで、『結婚どころか、実は私、吉川さんとはつきあっていません』って言うべきだろうか。 私は吉川さんに利用されて傷付けられたんだから、別に彼のために共犯者になってあげる必要なんてない。 むしろ、仕返しというか、事実をありのままに言う権利が……私には、ある。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3800人が本棚に入れています
本棚に追加