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「ところで、結婚はまだかね?
キミ達は」
ぶはっ。
何も口に含んでいないので、心の中で衝撃を勢いよく吹き出す。
「……」
吉川さんは表情を一ミリも変えずに、無言。
「あぁ、失礼。
まだそんな話までは出ていないのかな?
これからだね、道野くん」
えぇえっ!?私ですか?
私にきますか!?
「え……、あの……」
笑顔が引きつり、冷たい汗がこめかみを伝う。
……どうしよう。
ここで、『結婚どころか、実は私、吉川さんとはつきあっていません』って言うべきだろうか。
私は吉川さんに利用されて傷付けられたんだから、別に彼のために共犯者になってあげる必要なんてない。
むしろ、仕返しというか、事実をありのままに言う権利が……私には、ある。
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