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「あ」 着信8件。全て笹原君から。 ケータイを開いて、一旦停止する。 「……え?」 瞬時に、昨夜のことが頭を駆けるようにスライドされていき、このうろたえるべき状況にやっと本当にうろたえ始める。 同時に、ケータイで今の時刻が深夜2時半だと知り、昨夜というのは数時間前だということを理解する。 「え?えぇっ!?」 霧が晴れていくように記憶が戻ってくると、私は居ても立ってもいられなくなり、少しよろけながらも、部屋のドアを開けた。 そこは、廊下だった。 見覚えのある、2回ほどお邪魔したことのあるおうちの……。 「よ、吉川さんちだ……」 サーッと、ぼんやりした頭に冷水をかけられたような衝撃。 そうだ。私、酔いが回って……。 ……吉川さんの前で、倒れたんだ。
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