3619人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
再度生唾を飲む音が、私の体内で響いた。
目が開いていないからか、それとも前髪が全部下りているからか、いつもより若く見える。
よく見たら、割と整った顔だな……。
あ、耳の近くに小さなホクロがある。
まじまじと覗き込み、観察していると、段々この状況を忘れてくる。
イビキかかないのかな、吉川さん。
うちのお父さんと春人とは大違い。
ていうか、男の人の瞑った目って、セクシ――。
「ん……」
「……っ!!」
吉川さんの小さな声と薄く開いた目に、私は瞬時に我に返り、呪縛をかけられたかのように、その場に凍りつく。
「……」
「……」
腰を少し浮かせた体育座りの私は、腕組みしたまま斜めから私を見下ろす吉川さんと、ばっちり目を合わせてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!