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「……」
ドッドッドッ、と脈打つように高鳴る心臓の音が、体中にけたたましく響いている。
この体勢、この近さ、真夜中のこの状況に、私の酔いはすっかり醒め切ってしまった。
「……」
……って。
あ……れ?
吉川さん、動かない。
それに、何も言葉を発さない。
目も半分くらいしか開いてないし、……これは。
「……」
寝ぼけていらっしゃ……る?
そう思った時、無言の吉川さんが腕組みしていた手をほどき、右手をスッと私の方へ伸ばした。
――え?
そして、その人差し指の甲で、私の唇にそっと触れる。
「……」
ええっ!?
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