15

6/30
前へ
/30ページ
次へ
「……」 ドッドッドッ、と脈打つように高鳴る心臓の音が、体中にけたたましく響いている。 この体勢、この近さ、真夜中のこの状況に、私の酔いはすっかり醒め切ってしまった。 「……」 ……って。 あ……れ? 吉川さん、動かない。 それに、何も言葉を発さない。 目も半分くらいしか開いてないし、……これは。 「……」 寝ぼけていらっしゃ……る? そう思った時、無言の吉川さんが腕組みしていた手をほどき、右手をスッと私の方へ伸ばした。 ――え? そして、その人差し指の甲で、私の唇にそっと触れる。 「……」 ええっ!?
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3618人が本棚に入れています
本棚に追加