17

15/17
4023人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
呆れ半分で眉間を押さえていると、先ほどの道野結月の間抜けな顔が脳裏に甦り、片方の口角が無意識に上がりそうになる。 ……ダメだ。 吹き出すところだった。 彼女の、心を直接顔に出すところは、尊敬に値する。 社会人としては有り得ない、という皮肉も含むが、見ている分には大変興味深い……というか、飽きない。 「おっ、お持ちしました。持ってきました!」 持ってきた旨を重複して言いながら、彼女が小さなガラスの容器に、一人分にしてはあまりに多い角砂糖を入れて戻ってきた。 「手間を取らせて、申し訳ありません。 ありがとうございます」 ツッコみどころが満載だが、俺は素直に感謝を述べて、そこから2個角砂糖を取り、コーヒーに落とした。 そして静かにかき混ぜ、口に運ぶ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!