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呆れ半分で眉間を押さえていると、先ほどの道野結月の間抜けな顔が脳裏に甦り、片方の口角が無意識に上がりそうになる。
……ダメだ。
吹き出すところだった。
彼女の、心を直接顔に出すところは、尊敬に値する。
社会人としては有り得ない、という皮肉も含むが、見ている分には大変興味深い……というか、飽きない。
「おっ、お持ちしました。持ってきました!」
持ってきた旨を重複して言いながら、彼女が小さなガラスの容器に、一人分にしてはあまりに多い角砂糖を入れて戻ってきた。
「手間を取らせて、申し訳ありません。
ありがとうございます」
ツッコみどころが満載だが、俺は素直に感謝を述べて、そこから2個角砂糖を取り、コーヒーに落とした。
そして静かにかき混ぜ、口に運ぶ。
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