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その『へっ!?』という声は、今日の道野結月の声の中で、一番よく通った。
彼女の口は、大きな輪っかを作ったまま固まり、研修室にしばしの沈黙が流れる。
「……無ければこのままいただきますが」
「いえっ、ありますっ!すぐっ、すぐ持ってきます」
「……」
道野結月は俺の声にハッとして、小走りで部屋を出て行った。
……あからさま過ぎる。
あの反応は、男がコーヒーに砂糖を入れるのは有り得ない、という反応だ。
初めてコーヒーを出す相手に何も聞かずに、シュガースティックやミルクもなく、ただブラックコーヒーだけを出すのだから、そういった偏見を持っているに違いない。
「……」
それにしても……。
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