17

14/17
4024人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
その『へっ!?』という声は、今日の道野結月の声の中で、一番よく通った。 彼女の口は、大きな輪っかを作ったまま固まり、研修室にしばしの沈黙が流れる。 「……無ければこのままいただきますが」 「いえっ、ありますっ!すぐっ、すぐ持ってきます」 「……」 道野結月は俺の声にハッとして、小走りで部屋を出て行った。 ……あからさま過ぎる。 あの反応は、男がコーヒーに砂糖を入れるのは有り得ない、という反応だ。 初めてコーヒーを出す相手に何も聞かずに、シュガースティックやミルクもなく、ただブラックコーヒーだけを出すのだから、そういった偏見を持っているに違いない。 「……」 それにしても……。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!