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次の月末も、その次の月末も、道野結月は相変わらずだった。 改めようとしている姿勢がてんで感じられない、同じような基本的ミスの繰り返し。 分からない処理があっても、相談の電話を入れてこない。 多過ぎる、無意識のため息。 もちろん笑顔は皆無。 俺に対して向けられる、怯えた目。 極度の緊張からの挙動不審に、心に忠実過ぎる表情。 ……いや、これに関しては毎回笑ってしまいそうになるのだが。 しかし、正直、そろそろミスの指摘と処理に対する研修だけでは限界があった。 本人に自然と気づいてもらったり、彼女の直属の上司に育成してもらったりと、そんな悠長なことは言っていられないほど、経理として……いや、社会人として、彼女は幼過ぎた。
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