4357人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなことを考えながら車を走らせていると、いつの間にか道野結月の会社の近くまで来ていた。
そして、タイミングよく、歩道に彼女の後ろ姿を捉える。
……ついでに、隣で自転車を押す、見覚えのある男の後ろ姿も。
「……」
あれは、笹原祥太だ。
ハザードランプを点滅させ、徐行をして歩道側に車をつけながら、小さく息を吐く。
遠目からでも分かる、道野結月の俺に対するそれとはまるで違う、柔らかい雰囲気。
自然な笑顔。
「……」
俺は、爪でハンドルを3回ほどカツカツと叩く。
そして再度息を吐き、気付くと、短くクラクションを鳴らしていた。
最初のコメントを投稿しよう!