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「何も聞かずに連れてきてしまいましたが、和食は大丈夫ですか? ここは天ぷらが美味しいのですが、好き嫌いなどあれば」 「いえっ!!大好物ですっ。何でも食べます」 店に着き、通された個室で向かい合いながら、言葉を交わす。 自分はあまり揚げ物が好きな方ではないが、この彼女の勢いのいい返事に、思わず笑みがこぼれ、 「そうですか。よかったです」 と、心から返した。 彼女を食事に誘った時から、行くなら天ぷらの美味しいと評判のところへ、と考えていた。 慰労会の時に寝言を言っていた間抜けな顔の道野結月を思い出すと、また笑ってしまいそうになったが。 なおも背筋を伸ばし、硬い表情でお茶をすする道野結月。
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