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「今、彼女さんとか……いないんですか?」
公園に着き、ふたりで並んで座りながら噴水を見ていると、道野結月が俺の顔を窺うように聞いてきた。
おそらく、こんな場所を知っているから、聞いてきたのだろう。
確かにここは、数年前に、以前の恋人と来たことがある場所だった。
「いるのにあなたを誘えるほど器用な人間じゃありません、私は」
彼女がこちらのプライベートにこんなに踏み込んでくる質問をするのは、これが初めてだ。
そう思いながら、正直に答えると、
「そ、うですよね。
ハハ……、すみません」
と、バツが悪そうな顔をする彼女。
なぜ彼女はいつも謝ってばかりなのだろうか。
「いろいろ聞いていいですよ。
答えますから」
仕事の話や食事の話など、当たり障りのない話しかしていない彼女からの質問は、妙に心地よく、あえてこちらから質問を促してみる。
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