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「やっぱりからかって――」
「そのセリフ、聞き飽きました」
彼女がこういう反応をすることが分かっていた俺は、振り上げられた彼女の手をすかさず掴んで、動きを封じる。
「――んっ」
そして反対の手で彼女の後頭部を支えて、唇を塞いだ。
「――っ!」
一瞬、掴んだ彼女の手首に力が入る。
触れるだけの口づけ。
唇の温度も等しくならないまま、静かに顔を離した。
「パーフェクトな人間じゃなくて、すみません」
彼女の手首を掴んで引き寄せたまま、15センチ前のハトが豆鉄砲を食らったような顔に笑いかける。
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