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続かない会話に、明らかな拒否の空気。
俺は鼻を軽くこすって、彼女の俺に対する早く立ち去れオーラに、思わず苦笑してしまった。
相変わらずわかりやすい。
わかりやすすぎて、確かに傷ついている反面……。
「隣に座っても――」
「だっ、駄目ですっ」
ほら、拒否反応が返ってくると分かっていて、ちょっかいを出したくなる。
にしても、“駄目です”って……。
笑いを噛み殺し、またアタフタしだした彼女を静観する。
「あ、やっぱりどうぞ!
私戻るので、吉川さんはここに座ってください」
「あ」
「ひゃっ――」
立ち上がって席を譲ろうとした瞬間、もうお約束のようにつまづく彼女。
俺は咄嗟にその腕を掴み、彼女の体重を支えた。
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