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「あぶな……」
「大丈夫ですっ!大丈夫なので、手を」
「だいぶ回っているようですが」
「はい、あっ、いえ、でも大丈夫ですっ、はいっ」
繰り返される問答と、頑なに腕を引き抜こうともがく道野結月。
間抜けなそんな場面が、しばらく続いた。
その必死さに、どんどん自分の中の幼稚な部分が引きずり出され、一層離したくなくなる。
「付け込まれないように、必死ですね」
「……っ!」
目の前の真っ赤な顔をした彼女が、やっと俺を直視する。
あぁ……この目、だ。
「バカにしないでくださいっ!
離してっ!!」
涙目、渾身の力で腕を振り払おうとする道野結月。
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