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「……わっ!!」
彼女の戸惑いの声が胸元で響く。
こんなことを言ってこんなことをすれば嫌われると分かっていて、自分を止めることができない。
そしてそんな扱いづらい自分を、冷静に受け止められている自分もいる。
彼女が自分をこういう風に変えたっていうことを、どこかでちゃんと理解しているからだ。
そう自覚して、俺は目を細める。
「な……。
ひ、……人が……、会社の人が、来、ま……す」
気付けば、咄嗟に死角になる通路へと彼女の身を翻し、その両手首を壁に押し当て、動きを封じ込めていた。
「そうですね。困りました。
こんなことさせないでください」
そう言って壁に貼り付けた彼女の頭上に声を落とすと、バタバタと抵抗しだし、喚き始める彼女。
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