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足を蹴るので、片足を彼女の両足の隙間に割り込ませて、密着させた体で動けないように固定する。
傍から見たら、顧問先の経理の女を襲っている担当税理士事務所の男の図。
目撃されたら、俺自身のみならず事務所全体の信用にかかわる。
それでも、目の前の彼女を逃がしたくないという衝動が、俺を自分が一番嫌悪するような男にさせていく。
「……っ!!」
暴れる彼女と淡々と言葉を交わしながら、彼女の肌に唇を落としていく。
額に、鼻の頭に、右頬に。
その一つひとつに律儀にも過敏に反応してくれる彼女を自分の影の中に感じながら、自分の嫉妬深さと独占欲を今更ながら自覚した。
バカなことを、と一方で冷静な自分が己を笑うが、こんなザマに成り下がっている男こそが俺自身で。
体と行動だけは心に忠実だ。
ずるいことに、言葉だけは置き去りにしたまま。
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