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イラッとした。
こんなに儘ならない感情に振り回され、そして俺をそうさせている張本人にそう言われて。
「……。
大人だから傷付くことは無い、と?
私も人間ですので、傷付くこともあります。
大人になるにつれ、傷付いているという事実を見て見ぬふりをするのが上手になっただけで、傷は確かにあります。
それに」
苛立ちが高まるに連れて、煽られる加虐心。
そして、『傷ついた』と何度も直球で言ってのける彼女に対して、仄暗く浮かび上がる……欲。
「今、貴方が言ったことは、どれだけ私のことが好きかを証明する告白にしか聞こえません」
「……っ」
耳元に声を流し込むと、
「そんな話をしてるんじゃ、あ、ありませんっ!
この期に及んで自惚れないでくださいっ」
と、動きを封じた体で必死に身をよじる彼女。
「自惚れで結構」
あー……、ほら、無理だ。
もう無理。
彼女といると理性がきかない。
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