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「それでは……乾杯っ!」
グラスの合わさる音が、一斉に響く。
俺は横の社長をはじめ、周りの社員達と乾杯をしたあと、ビールを一口喉に流した。
拍手がおさまると、一気にザワザワと談笑の声が辺りを埋めて、宴会の雰囲気に包まれる。
今日は招待された慰労会の日だ。
「今日くらいはハメを外して、楽しんで行ってね。2人とも」
社長が、俺と高迫ににっこりと笑顔を向ける。
俺は微笑んで会釈をし、高迫は軽い冗談を返し、ともに酒を口に運び、料理に箸をつけた。
「つーかさ、さっき俺がゆづちゃんに手を振ったとき見た?
あれ、あからさまに吉川から顔を逸らしたよね?」
しばらくすると、横の高迫が俺に小声で聞いてくる。
賑やかさが一層増した宴会場内。
皆、酒が回ってきだしているのを表している。
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