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「吉川さん。 先程の席ではご挨拶も無しにすみません。 笹原といいます」 こちらに気付いた笹原祥太が、軽く礼をした。 いつの間にか高迫は、そばにいたはずの道野結月の後輩の……確か中園葵とともに消えていた。 一気に静まり返った細い路地。 数メートル先の2人を見据え、もたれかかっていた壁から背を離す。 「……。 こんばんは。存じ上げています。 貴方の営業成績は、目を見張るものがありますので」 彼が道野結月の頭に置いていた手を下ろして、彼女と手を繋いだのをぼんやり見ながら返事をする。 「あ……りがとうございます。 ……コホン。 ……で、あの……。 俺ら、付き合ってます」
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