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「情けな……」
そう言いながら、同時にクラリと眩暈も生じる。
どれだけ飲んだのか定かじゃないが、結構回っているようだ。
こんな酔い方をするのは、我ながら珍しい。
理由は明白だが。
ここは人通りが少ないが、遠くでガヤガヤと週末の街を彩る声や音が響いてくる。
一人たたずみ、その遠い喧噪に一層惨めさを感じながら、俺はビルの壁に体を預け、頭をコツリと後ろに倒して空を見た。
「ハハ……」
星の見えない夜空を目に映すと、すぐに手で顔を覆い、自分で自分を笑う。
正直言って、こういう展開は予想していなかった。
今更だと諦めるふりをしながらも、どこかでずっと期待していたから。
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