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「目が据わっています。 それができるほど疲れがたまっているのに、あまり勢いで飲むものじゃありません」 視線や足のおぼつかなさにそう言うと、口元を指で掠め、無言で俯く道野結月。 「走って来ましたか?息が」 まだ少し呼吸の整っていない彼女が、またユラッとよろけたため、そっとその肩に手を添える。 「……なんで?」 けれども、その手はその声とともに振り払われた。 「なんでこういうことするんですか?」 焦点の定まらないような目が、その瞬間、しっかりと俺を見上げ、威嚇する。 「もう、社長は納得済みじゃないですか。 私は別に、この期に及んで本当のことバラしたりしませんから。安心してください。 よかったですね、利用した甲斐があって。 よかったですね、私が扱いやすいバカな女で」 呂律は危ういが早口で、目に涙を浮かべながら訴えかけてくる彼女。 俺が脅すとでも思ったのだろうか。 自分の拳を食い込むように強く握っている。
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