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「それに吉川さんにとってはどうでもいいことなんでしょ?私が他の人と付き合うこと。
じゃあ、もうほっといてください。
暇つぶしのからかい相手なんて、吉川さん相手なら、金払ってでも立候補する人がいるはずですから」
まくし立てるような言葉の乱射が、1つ残らず胸を打ち抜いた。
『どうでもいい』?
『もうほっといてください』?
どうでもいいなら、こんなに痛みを感じない。
ほっとけるものなら、すぐにでもそうしている。
今だって、ただ鍵を受け取って帰れば済む話だ。
ほっとけないようにさせているのは、紛れもなく目の前の女なのに。
「金払ってでも、って」
苛立ちを飲み込むように、彼女の言葉尻をつついて笑顔を作った。
そろそろ限界が近いような気がした。
傷ついているのは俺のはずなのに、そんな涙目で、紅潮した顔で、息も切れ切れにつっかかってこられては、自制がききそうにない。
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