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「だっ、だからっ、……っ、ちゃんと答――」 「口実だけなら、物分かりがよく、面倒のない賢い女を選びます。 そして最初から計画の加担を申し入れる」 「へ?」 一瞬固まった彼女の口が、だらしなく円を作る。 間抜けな顔。 ゆるりと瞬きをして、ぼんやり俺を見る。 「利用が目的ではな――」 「……れ?」 想いを告げて、後はどうとでもなれと腹をくくった瞬間、手にかかる重みが今までの非ではなくなった。 「道野さん、ちょっ――」 瞬時のことにこちらも少しよろけ、慌てて腕全体で彼女の体を胸の方へ引き寄せる。 「……っと」 抱え込みながら覗き込んだその目は閉じられ、彼女は何やらむにゃむにゃと寝言のような言葉を発している。 「……」 ……この女は本当に、……予測不可能だ。 路地に佇み、今の今までの衝動の行き場を失い、けれども腕には愛しい体温と重みを抱えたまま、しばらく硬直していた。      
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