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「あ、男接近」
ようやく視界と思考から彼女を追いやって飲み直していると、またもや高迫が俺の腕を小突いてちょっかいを出してきた。
「いい加減に……」
しろ、と続けようとして上げた顔。
不覚にもなのか、潜在的に気になっているともはや認めるべきなのか、やはり無意識に道野結月が視界に割り込んできた。
「……」
男に指で軽く額をはじかれ、何やら親しげに話している。
あの男は……笹原祥太、だ。
「あ、鼻つまんでる。仲いいねー、あの子達」
わざと実況する高迫。
俺はまたもやグラスを空にして、
「だからどうした?関係ないだろう」
と、静かな声で返す。
そう言いつつも、あの指が彼女に触れるのを視界に入れるたびに、胸に沸々とわき上がる、形容しがたい苦さと苛立ち。
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