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「あ、男、こっち見たよ。っていうか、吉川のこと見てる」
「……」
あ……。
確かに交錯した視線。
彼の目は、いつか見た時のような目ではなく、明らかに男の目だった。
「うわー。こっち見ながらゆづちゃんのほっぺたつまんでる。
ハハ、おもしれー。
牽制されてるよ、吉川」
「……」
苛立ちが沸点に達したような気がした。
酔っているとはいえ、事情を知っているのか俺に対して煽ってくるような笹原祥太にも、触れられた手をさしてよけようとしない道野結月にも。
「あ、もしかして、あの男のことかな?」
「何がだ?」
「面白そうだから、俺、挨拶しに行ってくるね」
「は?」
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