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席を立った高迫は、俺が絶句している間に道野結月と笹原祥太が話している席へ移動した。
そして、何やら楽しそうに会話に参加している。
「……」
当たり前だが、周囲の賑やかな声と距離のせいで、こちらには何一つ聞こえてこない。
……何を話しているのだろうか。
一度巡回を代わってもらっただけで、あんなにも親しくできる高迫に、ある種の尊敬の念を抱く。
が、男二人に囲まれた彼女を見て、一層面白くないと感じる自分がいるのも確か。
「飲んでいるかね、吉川くん」
横からの社長の声にハッとする。
少し顔が赤くなっていて上機嫌な社長は、俺のグラスに酒を注いできた。
そのまま少し話をしながら、大事な顧問先の酒の席だというのに自分は何を考えているのかと、心の中で悪態をついた。
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