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潤んだ瞳で俺を見上げる彼女は、秩序や道徳が無ければ、すぐにでも目の前の男にいいようにされてしまう。 なぜなら、その目もその頬もその唇も、目の前の男に焦がれるような、そんな誘う色を浮かべているから。 「笹原さんがいるのに、そんな、自惚れを誘うような思わせぶりな顔をして、キスに応じて」 「……」 彼女の肩に手をかけて、ゆっくりとその体を倒す。 もともと両膝で囲んでいた体勢だったから、造作もないことだった。 やはり、彼女は隙だらけだ。 「そして、好きじゃない、と言って泣くんですね。支離滅裂ですね、道野さんは」 彼女が流した涙に触発されて、その表情に導かれて、自分の影で彼女を覆う。 先程のベッドの上との違いは、彼女の目が見開かれていること。
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