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「女じゃないってことですか?」
「いや。女だよ。道野さんは」
告白に取られてもおかしくないセリフに、思いがけない疑問をぶつけられて、また笑ってしまう。
「意味が分かりません」
「いいよ、もう。わからないままで」
俺の嫌悪する女とは違っても、どうしようもなく惹きつけられる正真正銘女の彼女の鼻を軽くつまむ。
彼女は片目をつむって、小さく息をのんだ。
わからなくてもいい。
俺だって、こんなになるまで分からなかった。
こんな初恋のような気持ちを飼いならすことなんて、土台無理な話だったんだ。
飼いならせないのなら、手放すほかない。
「タクシーを呼びますね」
体を起こし、ようやく彼女を解放することに成功する。
そのまま、ケータイを取るために立ち上がった。
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