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「タクシー会社がすぐそこにあるので、3分もしないうちに下に着くはずです。 眠ったままだったら泊めようかと思ったのですが、道野さん、起きたので」 ケータイを手に取ると、そう言いながらタクシー会社に電話をする。 せっかくの決心が、彼女の不意打ちのような無自覚な表情や言動によって、すぐに崩されないように。 「仕事上だけのおつきあいになりますが、気を遣わずに気軽に質問してくださいね」 「え?」 振り向きざま彼女を見やると、体を半分起こしたものの、髪が少し乱れ、口も半開きのまま。 「今まで失礼しました。もう関わりませんので。 貴方の私用の携帯番号、消した方がいいですか?」 我ながらずるい言い方だと思う。 選択を彼女に委ねることで、最後まで彼女の気持ちを試そうとしている。
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