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「……ん」
くすぐったかったのか、寝ながらもほんの少し顔の角度を変える道野結月。
それにも構わず、頬と唇の端と顎を伝って、首筋に顔をうずめ、唇を這わせる。
こんなの、まともじゃない。
酔いだけでは済まされない。
このまま続ければ犯罪だ。
……いや、既に、だ。
「……」
ガバッと顔を上げ、両手を彼女の顔の両脇に突っぱねて空間を作る。
自分の苦悩に満ちた表情が、鏡が無くとも分かった。
理性と本能の葛藤の狭間で、いまだに本能寄りの頭が辛うじて声を出させる。
「……起きてください」
返らない返事。
それが分かっていて俺は、彼女の唇に自分の唇を掠めた。
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