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こんなに近くにいるのに、車という狭い空間に二人だけでいるというのに、なんでだろう。
距離を感じる。
私は続かない会話にソワソワしながら、所在ない心地で膝の上のバッグの持ち手をぎゅっと握る。
尻もちをついていた私を起こしてくれた時に手がすぐに離されたことも、歩くときに距離を取られたことも、さっき差し出してくれた腕を、車を取りに行くためとはいえ、すぐに離されたことも。
そして、車に乗り込んでからもなお、他人行儀なことも。
吉川さんが明らかに、私に対して壁を作っているのが分かる。
それに、何か。……何かが。
「……」
無言の吉川さんの横顔を盗み見て、それに気付く。
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