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「っ痛……」
間抜けなことに、私は自分が倒した椅子に当たった足の痛みで、一瞬ひるんだ。
「バカなんじゃないのか?
自意識過剰にも程がある。そんなに触ってほしいのか?」
それを見下ろす部長が、鼻で笑いながらしゃがみこむ。
不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる、テカテカの顔。
酒臭い息。気持ち悪い手。
「やめっ――」
――ガチャンッ!
と、そう、さっきと全く同じ音が、少し離れたところで響いた。
私は、尻もちをついているから分からないが、中腰になった部長が、デスクとデスクの間から、顔一つ分上に出し、驚いた表情を浮かべる。
「……え?なんで吉――」
「こんばんは。お疲れ様です。
勝手に入って申し訳ありません」
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