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がっつり握るのはなんとなく気が引けて、腕で支えてもらっている意味があるのかないのかわからないくらいの力で手を添えて、外へ出る。
「うわ」
思わず声が出てしまうほどの土砂降り。
軒がけっこうあるのだけれども、打ち付ける雨のしぶきがこちらにまで感じられる。
「ここで待っていてください。
すぐに車を持ってきますので」
そう言って吉川さんは、差してもあまり意味のなさそうな傘を差し、横殴りの雨の中、駐車場へ走って行った。
「……」
1人佇んで待ちながら思うことは、吉川さんが迎えに来てくれたことと、部長のセクハラから救ってくれたことへの感謝と嬉しさ。
と同時に……。
軒下ギリギリにまでつけてくれた吉川さんの車に乗り込んで、おそるおそる彼を見る。
……ほら。
まっすぐ帰っていれば、こんなに濡れることなんてなかったはずなのに。吉川さん。
結構な割合で雨に濡れてしまっている吉川さんを見て、私は申し訳なさでいたたまれなくなった。
何か……、何か拭くものを。
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