3818人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
『お世話になります。
顧問させていただいている吉川ですが』
「――っ!!」
うぎゃっ!
と、思わず叫んで受話器を落とすところだった。
来週は話をする心の準備ができている予定だったが、今はまだできていない。
なっ、なんで吉川さんが?
パニックになり、目を泳がせながら頭に手を置いて考える。
私が今一人でいて、電話に出るってこと、もしかして分かっていて……。
『藤谷部長か佐伯課長は、まだ残っていらっしゃいますか?』
「……」
……あ。そうですよね。
吉川さんの受話器の声の後ろからは、事務所の人達が話している声が漏れている。
うちの会社も、今日の飲み会がなければ、男性社員は何人か残業している時間だ。
業務関係の話に決まっているではないか。
……バカだ、私。
最初のコメントを投稿しよう!