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「すみません。
あいにく、藤谷も佐伯も、本日は既に退社しておりまして……」
消えろ雑念、と心の中で唱えながら、必死で冷静を装って応対する。
『そうですか。
では他に、月曜の会議に出席される社員の方に代わっていただきたいのですが』
「え。
……あ、申し訳ありません。
今日は他に誰も残っていなくて……」
月曜の会議に出るのは、部長や課長、そして一部の男性職員だ。
彼らがみんな飲み会に行ってしまったというのを、何故か自分が後ろめたく感じてしまい、また、月曜の会議に吉川さんが来るの?と思うと、また心拍数が上がってしまって、電話口でうろたえてしまった。
『誰も?』
「……はい」
少しだけ曇った吉川さんの声に、なんだか怒られているような感じがしてしまう。
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