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『……では』
「えっ!あっ!」
いきなり電話を切られそうになって、驚いた気持ちがそのまま口に出る。
『なんでしょうか?』
何を言おうというのだ、私は。
こっちは一人だから何を言ってもいいけど、吉川さんは、後ろに他の社員さんがいるし、まだ仕事中だ。
でも、お互い私用の電話番号を消したということになっているから、この電話は私にとって、とても、とても貴重だ。
実は、私はまだ消せずにいるのだけれども。
「げ、月曜日、もしかして吉川さんも会議に出席されるんですか?」
かろうじて、会話をつなぐ。
『はい。社長から可能ならば出て欲しいとお電話を頂いたので』
「じゃ、じゃあっ、もしかして、その日に経理チェックしますか?」
まるで先生に『その日に宿題チェックしますか?』と聞いているお怠け生徒みたいな言葉。
いや、でも、それ次第で、今日やっておかなければいけない業務が増える。
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