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バタン、とマンション一階の駐車場に、運転席のドアを閉める音が響く。
私も降りて、先を歩く吉川さんに続いた。
吉川さんのマンションの駐車場。
２人分の靴音が響く。
慣れた手つきで車を見ずにリモコンキーで施錠し、エレベーターに向かう吉川さんの背中を見て、私はとてつもなく緊張していた。
エレベーター内でも無言。
“も”というのは、ここに来るまでの車内でも一言も話さなかったから。
まるで怒っているかのように無言を決め込む吉川さんにおののいて、告白どころではなかった。
それに、運転中にそんな話をしたら失礼だなんて、余計なことをモヤモヤと考えていたら、ここまで来てしまった。
よりによって、出た言葉が“消しゴム”なんて、間抜けすぎる……。
こんな無理やりこじつけたような恥ずかしい口実、吉川さんだって絶対に嘘だって見破っているし。
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