エピローグ

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「へへ……」 「……」 思わずにやけてしまうと、コーヒーをすする吉川さんが、無表情をこちらへ向ける。 「何か?」 「――いえっ」 私はピンと背筋を伸ばして、緩んだ顔を慌てて戻した。 うーん、やはり業務時間中の吉川さんは、隙がない。 公私混同しないところは素晴らしいし、見習うべきなんだろうけれど、なんとなく……なんとなく寂しい気がする。 「……では、これで」 カチャ……と空になったカップをソーサーに下ろした吉川さんは、静かに席を立つ。 私はいつものように、急いでドアの方へ駆け寄り、彼より先に開けるべく、ドアノブに手をかけた。
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