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「わ」 考え過ぎてキャパオーバーになっていた私は、玄関扉の前で立ち止まった吉川さんの背中にぶつかりそうになり、小さな声とともに急停止した。 「……」 いまだ無言の吉川さん。 鍵を開けたその手をぶらりと下げ、そのまま動かなくなった。 「?」 背後からさりげなく様子を窺おうとすると、吉川さんが急に振り返ったものだから、思わず、 「わっ」 と、また驚きの声を上げてしまう。 正面に立ち、玄関扉に背を預け、なんだかものすごく疲れている様子の吉川さんが、ずっとかけたままだった眼鏡を取って、胸ポケットに入れた。
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