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「なんか恋人みたいだね。こうも毎日会ってると」
「まだ一週間とちょっとですけど」
食べ終えたパスタ皿をキッチンに持って行きながら返事をする。
そう言いながらも、自分も同じことを思っていたから、気恥ずかしさを紛らわすように、
「そろそろ教えてくれませんか?慰労会の日の会話を」
と、後ろ姿で聞く。
「んー。だから、互いに互いを利用しましょう、的な?」
「もっと具体的にお願いします」
作ってもらったお礼にお皿を洗い始めると、キッチンとリビングの境界線で、スライド式の開けたままのドアに寄りかかる高迫さん。
「そんなことより、なんか楽しい話題ないの?」
ほら、またはぐらかす。
「あ。そういえば、道野先輩と吉川さん、正式にお付き合いしだしたみたいですね。聞きました?」
もっと問い詰めようかと思ったが、旬な共通の話題を思い出して、思わず口にする。
「……聞いてない。けど、……そう」
あれ?高迫さん、道野先輩にいろいろアドバイスしてたから、もっと喜ぶかと思ってた。
「……ふーん。やっぱり。どうりで雰囲気が違うと思った」
独り言のように呟く彼に、
「吉川さんと高迫さん、仲いいんだか悪いんだか分からないですね」
と、お皿にスポンジを走らせ、笑いながら言う。
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