番外編① 前編

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「なんか恋人みたいだね。こうも毎日会ってると」 「まだ一週間とちょっとですけど」 食べ終えたパスタ皿をキッチンに持って行きながら返事をする。 そう言いながらも、自分も同じことを思っていたから、気恥ずかしさを紛らわすように、 「そろそろ教えてくれませんか?慰労会の日の会話を」 と、後ろ姿で聞く。 「んー。だから、互いに互いを利用しましょう、的な?」 「もっと具体的にお願いします」 作ってもらったお礼にお皿を洗い始めると、キッチンとリビングの境界線で、スライド式の開けたままのドアに寄りかかる高迫さん。 「そんなことより、なんか楽しい話題ないの?」 ほら、またはぐらかす。 「あ。そういえば、道野先輩と吉川さん、正式にお付き合いしだしたみたいですね。聞きました?」 もっと問い詰めようかと思ったが、旬な共通の話題を思い出して、思わず口にする。 「……聞いてない。けど、……そう」 あれ?高迫さん、道野先輩にいろいろアドバイスしてたから、もっと喜ぶかと思ってた。 「……ふーん。やっぱり。どうりで雰囲気が違うと思った」 独り言のように呟く彼に、 「吉川さんと高迫さん、仲いいんだか悪いんだか分からないですね」 と、お皿にスポンジを走らせ、笑いながら言う。
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