番外編① 前編

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手は私より冷たいくせに、男の人の体って、なんでこんなに熱いんだろう。 二回目の彼の寝室で、間接照明の薄明かりの中、ぼんやりとそう思った。 「……っ」 有無を言わせないようでいて、あまりにも優しく私に触れる指。 互いの湿った吐息が、僅かな顔の隙間をつなぐ。 つきあっているわけではないのに、好き同士でもないのに、なんでこんなことをしているのか、自分で自分が信じられない。 ただ、いつも傲慢な目をしているのに、何故か今日は切なげに揺れる彼の目が、ひどく印象的で……。 あれ? 何の話題の時に、高迫さんにスイッチが入ったんだったっけ? “傷のなめ合い”? “ブルーデー”? 頬にはキスするくせに、唇にはスレスレで触れない彼の唇。 焦らしているのか、ポリシーなのか知らないけれど、熱を伴いだした体と心は、物足りなさと、どこか悲しさすら訴え始める。 「……」 ――あ。 気付いてしまった。 ……そっか。 高迫さんは……。        
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