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手は私より冷たいくせに、男の人の体って、なんでこんなに熱いんだろう。
二回目の彼の寝室で、間接照明の薄明かりの中、ぼんやりとそう思った。
「……っ」
有無を言わせないようでいて、あまりにも優しく私に触れる指。
互いの湿った吐息が、僅かな顔の隙間をつなぐ。
つきあっているわけではないのに、好き同士でもないのに、なんでこんなことをしているのか、自分で自分が信じられない。
ただ、いつも傲慢な目をしているのに、何故か今日は切なげに揺れる彼の目が、ひどく印象的で……。
あれ?
何の話題の時に、高迫さんにスイッチが入ったんだったっけ?
“傷のなめ合い”?
“ブルーデー”?
頬にはキスするくせに、唇にはスレスレで触れない彼の唇。
焦らしているのか、ポリシーなのか知らないけれど、熱を伴いだした体と心は、物足りなさと、どこか悲しさすら訴え始める。
「……」
――あ。
気付いてしまった。
……そっか。
高迫さんは……。
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