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「よ、吉川さんのこと、いつから下の名前で呼べばいいと思う?葵ちゃん」
昼休み時間。
お弁当を食べながら、赤くなっている道野先輩が、真剣な顔で聞いてくる。
「え?そのままでもいいんじゃないんですか?
もしくは何て呼ばれたいか、直接本人に聞くとか。
先輩が呼びたいなら、そう言ってみるとか」
「そっ、そっか。そうだよね。アハハハハ」
初めて交際を始めた先輩は、初々しすぎる質問を投げかけてきたり、男の人が好きそうな手料理を聞いてきたりして、同じ女性ながら、本当に可愛らしいと思う。
「きっ、昨日ね、あんまり自然に下の名前で呼ばれたものだから、びっくりしてガチガチになっちゃって」
赤面している先輩と、それをクスクス笑っている吉川さんの図が容易に目に浮かぶ。
あの笑顔なんて無縁そうな吉川さんの笑顔が浮かぶくらい、幸せオーラを放出しまくっている先輩。
彼女は、それを同性が敬遠するノロケだと感じさせない、むしろ応援したくなるような、素敵な魅力の持ち主だ。
私は、そんな先輩のことが大好きだ。
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