番外編① 前編

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彼と話していると調子が狂う。 いつも笑ってかわせることや、自分に害がないようにあしらえることが、どうも上手くいかない。 所々で核心をついてくると思いきや、何もかも冗談のように流したり。 自分をさらけ出しているようでさりげなく隠すスキルも、彼の方が一枚上手だ。 でも、なんで私はいいように扱われているんだろう。 断ろうと思えば断れるのに、連日彼の誘いを受けているんだろう。 酔った日の記憶がなくて弱みを握られているようだから、だけではない。 日を重ねるごとに、彼との食事や会話が楽しく感じられてくるようになった。 道野先輩と吉川さんが上手くいきそうだから、うらやましくて人恋しいのだろうか。 それとも、高迫さんみたいな、多少性格に難はあっても、観賞用には申し分ない顔と切れすぎる頭の持ち主と過ごすことに、ちょっとした優越感みたいなものを感じているのだろうか。    
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