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ポタ、と髪を伝って滴が床に落ちた。
上半身裸のままの俺は、ハタ、と我に返ったらしい道野結月の固まった姿を見て、同じく固まる。
いや、先程から固まったままだが。
「しっ、失礼しましたっ!!」
バタンッと勢いよく閉まるドア。
次いで、パタパタと廊下を遠ざかっていく足音。
「……誕生日?」
呆気にとられたままだった俺は、ようやく呟く。
今日……何日だ……?
……あ。
「そうか」
忙しさにかまけて、自分の誕生日すら忘れていた。
そして、ようやく気付く。
彼女が平日なのに今日にこだわったことも、準備されていた手料理も。
ついでに、珍しく缶コーヒーをご馳走してくれた高迫にも。
……にしても、なんで彼女が知っているんだ?
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