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結局終わったのは10時半で、自宅マンションに帰り着いたのは11時前。
車を降りてエレベーターに乗り、首を回しながら自分の階で下りる。
7時頃に事務所にあった茶菓子を軽くつまんだだけだったから、腹が鳴った。
冷蔵庫に何か入っていたかを思い出しながら、俺は自分の部屋の鍵を開け、ドアノブを回した。
「……」
まずはじめに目に入ったのは、女物の靴。
そして違和感を感じたのは、部屋の灯り。
……あれ?
と思いながら、思い当たる人物はスペアキーを合鍵代わりに渡したままの彼女しかおらず、俺は心持ち急いで靴を脱ぎ、中へ入った。
そして、その予想通りの姿が目に入る。
「みち」
のさん、と続けようとして口を噤んだ。
ダイニングキッチンのテーブルで、折りたたんだ自分の両腕を枕代わりに顔を伏せている彼女が、静かな寝息を立てていることに気付いたから。
簿記の問題集が下敷きになっている。
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