番外編②

6/15
前へ
/20ページ
次へ
「……」 そして、彼女の頭の斜め上には、ラップしてある和風ハンバーグらしきものと、茶わん蒸しらしきもの、ポテトサラダ、そして空のお椀とお茶碗。 「ハ……」 まるで安いドラマでよくありそうなシーンに、思わず笑みをこぼした。 一度断ったにもかかわらず、彼女も明日仕事があるだろうに、なんでまた平日に、俺が遅いと分かっていて……。 そう思いながらも、こみ上げてくる嬉しさに緩んだ顔を戻せず、コホ、と小さく咳払いをする。 鞄を空いている椅子に置き、脱いだ背広を彼女の肩にかけると、改めてテーブルの上を見る。 彼女が作ったのだろうか……。 ラップを取ってまじまじと見て、それ以外考えられないことに、また口角を上げる。 鍋を開けると味噌汁も準備されていて、ここで料理をしていた彼女の姿が目に浮かんだ。 起きる気配のない彼女。 俺はその頭を軽く撫でて、鍋を温め直した。    
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4562人が本棚に入れています
本棚に追加