若気の至り

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大人の足の速さにクリスは焦りを感じる。大人と子供では、歩幅が違う。段々と二人の差は縮まっていく。 (このままじゃヤバイ、くそっ) 少年の身体は細い。あまり食べ物を口にしていないだろう。養分の行きわたってない身体には、筋肉と言う筋肉がない。 クリスの息は上がり、足は意思とは関係なしに足が動かなくなっていく。限界を感じた彼は立ち止り、食料を地面において、頭を地につける。 「お願いします、見逃して下さい。今も食べ物を待っている子供がいるんです。なんでもしますから.....」 「てめぇ、盗んでいといて何を言ってやがる。」 男は少年の髪をひっぱり、顔を覗く。土まみれの顔を見て、不敵に笑う。怒りは何処へ行ったのやら...優勢な立場になった事により男の行動が大胆になる。 クリスの髪を離し、彼の顔や腹を何度も何度も蹴り、頭を足で踏みつける。他の人達はその様子を笑いながらみている。 彼らは表の人間。裏の人間を人だと思ってないのかもしれない。周りの者逹は男の行為を責めもせず、むしろ肯定しているようにさえ見える。 もっとやれと声を飛ばす者や、混ざって蹴るもの。これが、表の人間の裏の顔。 少年の味方をする者は誰もいない。
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