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「4年ぶりって……記憶が戻る前は甘党だったんですか?」
「甘党って訳じゃないけど、友達と良く食べてたの。記憶が戻って食べなくなったら、友達が味覚の変化に驚いてた。」
「味覚の変化があったんですか?」
「最初はね。でも徐々に戻ったわ。マクファーソンとハウエルが融合したって感じかしら。うん、懐かしい味。」
ふふっと笑ってパフェを食べる。
「美味しそうに食べますね。ちょっと頂いても?」
「良いわよ~。はい、あ~んして~。」
ニッと笑いながら差し出され、照れて真っ赤になる。
思った通りの反応に、彼女はくすくす笑っていた。
「じ、自分で食べますから、スプーン貸して下さい。」
「だ~め。良いから食べて。新婚なんだから良いじゃない。」
「新婚と言っても形だけでしょ?」
「え~、食べてくれないの~?寂しいわ~。」
と、本当に寂しそうな顔をしている。
「わ、分かりましたよ。じゃあ、オレンジも付けて下さいね。」
シルビアが嬉しそうに準備する。
この時、二人は店内のざわめきに全く気づいていなかった。
「はい、どうぞ。」
と、差し出した瞬間だった。
何かがぶつかり、スプーンからパフェが落ちてしまったのだ。
「あーっ、最後のオレンジだったのにーっ!」
叫ぶシルビアに、ぶつかってきた何かが声を発した。
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