サンパウロにて

11/22
前へ
/490ページ
次へ
「悪い悪い、イチャイチャぶりに妬けちゃって。」 言われて初めてシャスタが気づく。 あちこちのテーブルで客が被害に遭っていた。 いつの間にか嫌がらせが始まっていたのだ。 目配せしようとシルビアを見ると、落ちたパフェを見つめてわなわな震えていた。 キッと男を睨むシルビア。 「おっ、彼女可愛いね~。俺達と遊ぼうな~。」 腕を掴み、強引に立たせて連れて行く。 それを見たシャスタは彼らを憐れみかぶりを振った。 事情を知らない店主がシルビアを救おうと立ちはだかり、殴られ突き飛ばされてしまった。 一般人に被害が及び、慌てて介抱に向かう。 「あんた!私より彼女を助けに行きなさい!」 「大丈夫ですよ。ご心配なく。」 そんな様子を横目に出て行く男達。 シルビアが出口で立ち止まる。 「何だよ。あんなへなちょこ野郎なんかほっといて、早く遊びに行こうぜ。」 その台詞を聞いたシルビアがにっこり微笑む。 「そうね。外に出た方が良いわよね。」 その微笑みと、出て行く彼女を見てシャスタが慌て出す。 「貴方達はここにいて!後は任せて下さい!」 「あんた達は一体……。」 「あっ、ナイトです、FLAGの。すみません、急がないと。」 「あ、ああ、早く彼女を助けてやってくれ。」 「いえ、助けが必要なのは彼らの方です。失礼!」 走って出て行くシャスタを見て、娘がこっそり後を追う。 .
/490ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加