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「諸君は今日から未来の進駐官の卵である。一日も早くわが日乃元皇国(ひのもとこうこく)のために働く有為(ゆうい)の人材として、世界に羽ばたいてもらいたい。
ご存知のとおり、世界は新たな高度植民地時代を迎えている。アメリア民主国、エウロペ連合、氾(はん)帝国の3大列強により、世界の寡占(かせん)化は進行している。資源と市場を求める戦いは日々激化しておるのだ。
わが皇国の未来もひとえにどれほどの友好領土を海外に得るかにかかっている。国家生存のための戦いは厳しさを増し、国民の全身全霊の奉仕を求めている」
狩野校長は左の腰につった短剣を抜くと、さやごと演壇のうえにおいた。ごとんっと重い音をマイクが拾った。
銀の鍔(つば)がぎらりとすごみのある光を放つ。新入生は息をのんで、短剣と70近いあごひげの老人を見つめていた。
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