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 卒業時の順位が7番目までの最優秀な生徒には、女皇から銀の短剣が直接手渡されることになっていた。卒業後の進路も自由に選べる。銀剣組は常時戦時体制下にある日乃元皇国の、エリート中のエリートだった。 「えーい、面倒だ。わしはこんな儀式やあらたまったものいいなんぞ好かん。貴様ら死にたくなかったら、死ぬ気で勉強して、死ぬ気で戦術を身につけろ。  ここで3年、進駐官養成大学で4年学べば、どんなぼんくらでも進駐官少尉として前線に放りだされる。正しい決断と統率力を示さねば、戦場で死ぬのは貴様らだけはない。大切な部下も死なせることになる。皇国の未来はここにいるひとりひとりの双肩にかかっておる」  狩野校長が目を細めて、新入生を見まわした。3列目の端に直立する逆島断雄(さかしまたつお)は、鋭い視線で射抜かれた気がして、思わず身震いした。確かにあの人は、こちらをにらんでいた。
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